小中学生の皆さんへ

●岩石は地球の材料
 地球上でいちばんありふれたものは石ころや岩かもしれませんね。地面を掘れば、どこでも必ず岩石に突き当たります。畑の土や海辺の砂は、岩石が風化(ふうか)して粉になったものです。また、コンクリートや瓦(かわら)の原料も、そのおおもとは岩石です。そうです、私達が暮らしている地球そのものが岩石という材料からできています。そのため、普段は空気のように忘れられているのかもしれません。でも岩石は、私達の生活に深くかかわっています。その例をいくつか紹介しましょう。
 土砂くずれなどの災害がおきやすい所とそうでない所があります。地震で特にゆれやすい所とそうでない所があります。松茸が生えやすい所もあれば、おいしい水がたくさんわき出て、酒どころとされる町もあります。これらは皆、その場所や周辺にある岩石の性質が関係しています。鉄やアルミニウムの原料など、生活に役立つたくさんの天然資源も岩石の中に含まれています。逆に、生き物にとって害になる物質が含まれていることもあります。これらは、岩石の化学成分が関係しています。
 また、火山の噴火や地震がおきるのは、地球が生きて動いている証拠です。地球が動いていると言っても、実際に動いているのは岩石です。ですから、火山の噴火や地震の予知のためには、地球の材料である岩石の、種類ごとの性質と分布や生い立ちを調べ、地球そのものの歴史を知ることが大切です。

●岩石学の世界
 現在の地球の様子や、46億年とされる地球の歴史を知るためには、地球の材料である岩石の研究は欠かせません。深い所にあった岩石ほど、それだけ地球の深い場所の様子を記録しています。また、古い時代にできた岩石ほど、それだけ古くからの地球の様子を記録しています。でも、その記録は「岩石語」という暗号で書かれています。その暗号を解読するためのいろいろな研究を合わせたものが岩石学という学問分野です。その実際の作業の第一歩は、岩石の分類からはじまります。
 ひと口に分類といっても簡単ではありません。例えば見かけだけで、黒っぽい岩石、白っぽい岩石と分けても、「岩石語」を解読する上では意味がないかもしれません。岩石学者は、ながい間の研究をとおして、表面上の見かけに頼らないもっと重要な岩石の特徴の表し方があることに気付きました。例えば、どんな種類の鉱物からできているか、どんな組織をしているか、どんな成分からできているか、地下の中でどんな形で分布しているか、いつ頃できたのかといったことです。現在では、このようないろいろな特徴を組み合わせて岩石の分類がなされています。その結果、地球上では、いくつかの種類の岩石が家族や親戚のような関係を結んでいることがわかってきました。また、それぞれのグループが地域ごとに分かれて地球の中で規則的に分布していることもわかってきました。このような、関係性や規則性の発見こそが暗号解読の決め手です。
 「石の博物館」では、以上のような立場から、岩石の分類だけでなく、それらの生い立ちについても解説します。この機会に、地球の材料がどんなものであるか、実感していただければと思います。

2004年 6 月 10日、管理人記 

トップページへ戻る